『妖怪』 野宿火

きつね火にもあらず、草原火にてもなく、春は桜がり、秋は紅葉がりせしあとに火もえあがり、人のおほくさわぎ、うた唱ふ声のみするは野宿の火といふものならん。        ― 桃山人夜話 絵本百物語 ―今回ご紹介するのは、「野宿火」です。これは読んで字のごとく、街道や山中で人が起こす火のことなのですが、時折、人気のない場所で、その火が燃え上がることがあります。消えていたはずの火がついたり、また、知らぬ間に...

『奇談』 山芋地蔵

駿州(現在の静岡県)駿東郡平田村に羽左衛門という貧乏人がおりました。この男、山芋を掘ってはそれを売ることを生業としていたのですが、嘉永6年(1849年)の3月のこと、狩野川の堤で長芋を掘っている最中、妙な物を掘り当てました。それはなんと長芋に頭部を貫かれた頭蓋骨でした。あまりのことに驚いた羽左衛門は恐れてそれを埋め直すと、急ぎ、お寺の僧にこのことを相談します。どのような処置をしたらいいか話し合った...

『風習・しきたり』 くしゃみのおまじない

冬から春へと次第に季節が移り変わるこの時期。風邪を引いたり、花粉症の影響などで、街中でくしゃみをしている人をよく見かけますよね。そんな人々の中に、くしゃみをする度、「ちくしょう!」とか「くそっ!」とか悪態をついている人がいることはありませんか?たまに少しお年を召した方が言っているのを見たことがある、という人はいるかもしれませんね。これは、突然のくしゃみに対する苛立ちの言葉にも思えますが、実は、古来...

『昔話』 踊る骸骨 ②

今回はお話の続きからです。前回:『昔話』踊る骸骨ーー友を殺して金を奪い取った上の七兵衛。盗んだ金で遊び歩くが、次第に金は尽き、再び出稼ぎに出ることに。しかし、行く先の峠で待っていたのはかつて殺したはずの下の七兵衛の骸骨だったーー「やあやあ、懐かしい友よ。まさか俺を忘れたわけじゃあるまい?」腰を抜かして倒れこむ上の七兵衛を前に、すっかり骸骨の姿と成り果てた下の七兵衛が言いました。「俺はお前に会いたく...

『昔話』 踊る骸骨

昔むかしのことでございます。ある村に上の七兵衛という男と下の七兵衛という二人の男がおりました。二人はとても仲が良かったそうですが、村にいても仕事がないということで、ある時、一緒に出稼ぎの旅にでることにしたそうです。下の七兵衛の方はせっせと汗水流して働き、お金を貯めていったそうですが、上の七兵衛の方はというと、ろくに働きもせず、遊び暮らしていました。その上、あろうことか、遊ぶ金が無くなるや、悪党の仲...

『奇談』 釘に打ち抜かれたヤモリ

宝暦十二年の春のことです。遠江国(現在の静岡県)金谷の横山という人の家の壁に、雨避けの板がありました。この板は二十五年前に修復された後、一度も直されることがなく朽ちてしまっていました。さすがにこれ以上放置することはできないということになり、大工に頼んで取り替えてもらうことになるのですが、その際、その板の下から奇妙なものが出てきました。それはなんと、一本の釘に打ち付けられたヤモリでした。おそらく、以...

『妖怪』 布がらみ

青森県三戸郡田子町長坂でいう妖怪。昔、長坂に布沼という大きな沼があった。この沼には布がらみという奇怪な主が棲むといわれ、人々から怖れられていた。布がらみは布に化けて沼の畔の垣根にかかり、人がそれを見て、取ろうとすると、たちまち伸びて人にからみつき、沼に引き込んだ。この布がらみに妻と娘を沼に引き込まれた男が、この主を退治しようと決心し、神のお告げによって、鳩の卵を1つ持って布沼に出かけた。男が沼の畔...