『日本神話』 天照大御神③  天の岩戸にて

今回は日本神話シリーズの第三弾として、天照大御神にまつわるお話の続きを書いていきたいと思います。前回→  天照大御神 ①  ② さて、度重なるスサノオノミコトの狼藉により、天の岩戸に籠もってしまった天照大御神。 太陽の光を失ってしまった世界は、闇に閉ざされてしまいました。 この危機に高天原の神々は集結して、対策を話し合います。 ここで妙案を繰り出したのは、天界きっての知恵者の思金神(オモイカネノカミ...

『奇談』 失われた一文字

 昔、大和国葛木上郡に、一の持経の人有りき。丹治比の氏なり。其れ生に知れり。年の八歳よりも以前に、法花経を誦持せしに、竟に唯し一字のみは存むること得ざりき。二十有余の歳に至りても、猶し持すること得難し。観音に因りて以て悔過せり。             ―― 『日本霊異記』より抜粋 ――  ―― 昔、大和の国に、法華経を唱えて修行している人がいました。この人は生まれながらとても利口な人で、八歳になるより...

『妖怪』 悪路神の火 

伊勢国丸領間弓村(三重県度会郡玉城町)の唐津谷というところに、猪草ヶ淵という難所があり、十間(約18m)幅の川があった。谷底までは十間もあるのに、杉の丸木橋があるだけだった。また、周囲の道には山蛭が多く、道行く人を難儀させた。このような悪路に現れたのが悪路神の火である。           ― 『日本妖怪大事典』より抜粋 ―旅人を困らせる悪路に現れる怪火です。 『閑窓瑣談』という随筆に書かれた内容に...

『怪異譚』 慧眼の猟師  夜毎現る菩薩の怪

今や今やと待つに、夜半過ぎぬらんと思ふ程に、東の山の峰より、月の出づるやうに見えて、峰の嵐もすさまじきに、この坊の内、光さ入りたるやうにて、明くなりぬ。見れば、普賢菩薩、象に乗りて、やうやうおはして、坊の前に立ちたまへり。     ―『宇治拾遺物語』 猟師、仏を射ること より抜粋――― 昔、京都の近くの愛宕山に朝から晩まで黙想と読経に精を出す徳の高いお坊さんがいらっしゃいました。 このお坊さんが住んで...

『奇談』 貧なる聖  聖徳太子が出会った乞食の正体とは

有る臣の白して曰さく、「賤しき人に触れて穢れたる衣、何の乏びにか更に著たまふ」とまうす。太子、「住めよ。汝は知らじ」と詔りたまふ。―『日本霊異記』 聖徳太子の異しき表を示したまひし縁より抜粋―聖徳太子と言えば、知らない人はいないほどに有名な歴史上の偉人ですね。十人の人の話を同時に聞けたというエピソードはもちろん、十七条の憲法を制定したり、遣隋使の派遣を行ったりといった、様々な活躍を見せた政治家です。...

『妖怪』 風の神  病をもたらす邪気の風

風にのりて所々をありき、人を見れば口より黄なるかぜを吹かくる。其かぜにあたればかならず疫傷寒をわづらふ事とぞ。              ―『絵本百物語 桃山人夜話』より―今日紹介するのは、風の神です。神ということは、妖怪ではないのか? そう思う人もいるかと思いますが、どうやらこの神は、人にとって良い存在とは言えないようです。ここで言う「風の神」とは邪気(病などを起こす悪い気)のことを示し、説明文に...

『昔話』 炭焼長者

昔むかし、土佐の国の山奥に炭焼小五郎という男がおりました。毎日毎日炭を焼いているので、体も服も真っ黒でお世辞にも綺麗な身なりとはいえない様子でした。そんな具合でしたので、お嫁さんをもらっても良い年頃でしたが、中々相手は見つかりません。しかし、小五郎は興味がないのか、独り身のままで、炭を売りに村と山を往復する生活を続けていました。ある日のことでした。いつものように小五郎が炭を背負って山を下りていると...

『奇談』 巷説より出づる怪   鬼の噂に翻弄される人々

応長の頃、伊勢の国より、女の鬼になりけるをゐてのぼりたりといふことありて、その頃二十日ばかり、日ごとに、京白川の人、鬼見にとて出でまどふ。         ―『徒然草』 第五十段 より―今日紹介するのは、徒然草にあるお話です。  ――ある時、伊勢の国から鬼に化けた女がやってきたという噂が京都で広まりました。多くの人がしきりに出歩き、「昨日は西園寺に鬼がいた」とか、「今日はきっと院へ行くだろう」とか、「...

『怪異譚』 白鹿 猟師が出くわした山の神

今回ご紹介するのは、遠野物語にあるお話で、和野村の嘉兵衛というベテランの猟師が登場します。この方は山で色々な神秘的な体験をされた人のようなのですが、今日はその人が山中で白い鹿に出くわした時のお話です。――ある時、この猟師が六角牛山(ろっこうしさん)に入った所、ふいに白い鹿に出くわしました。思わず銃を向けるのですが、そこである思いが脳裏をよぎります。白鹿は神なりといふ言伝へあれば、もし傷つけて殺すこと...

『妖怪』 毛羽毛現 

毛羽毛現は惣身に毛生ひたる事毛女のごとくなればかくいふか或は希有希見とかきて、ある事まれに、見る事まれなればなりとぞ          ―鳥山石燕 『今昔百鬼拾遺』より―全身毛むくじゃらの妖怪、毛有毛現です。鳥山石燕の画集、『今昔百鬼拾遺』に描かれています。一見すると巨大な毛虫のようにも見えますね。しかし、毛虫の妖怪ではありません。じゃあ、なんの妖怪なのかと問われると苦しいのですが、正直なところ、よ...