『四方山話』 菖蒲華さく

七十二候(しちじゅうにこう)というものを御存知ですか?あまり聞き慣れない言葉ですが、簡単に説明すると、日本に古くから伝わる季節の呼び名の事です。え、それって、立春とか、夏至とかのこと? と思う方がいるかもしれません。大変おしいですね。それは二十四節気(にじゅうしせっき)と言って、この七十二候の親となる季節の区分のことです。どういう意味かと申しますと、そもそも日本には季節の区分けとして、四季がありま...

『日本神話』 天照大御神② 弟神の乱心

さて、神話シリーズの第二弾、ということで前回の天照大神の物語の続きです。今回登場するのは、天照大御神の弟神、素盞嗚命(スサノオノミコト)です。姉に負けず劣らず有名な神なので、名前を知っている人は多いと思います。おそらく、大抵の方が化物退治をした、勇猛果敢な戦士のような神様、というイメージをお持ちではないでしょうか。知らない、という方もいらっしゃると思うので、簡単に説明していきましょう。まず、この神...

『奇談』 オット鳥  谷底から響く悲しき声

山にはさまざまの鳥住めど、最も寂しき声の鳥はオット鳥なり。夏の夜中に啼く。浜の大槌より駄賃附の者など峠を越え来れば、はるかに谷底にてその声を聞くといへり。昔ある長者の娘あり。またある長者の男の子と親しみ、山に行きて遊びしに、男見えずなりたり。夕暮れになり夜になるまで探し歩きしが、これを見つけること得ずして、つひにこの鳥になりたりといふ。オツトーン、オツトーンといふは夫のことなり。末の方かすれてあは...

『妖怪』 わいら

今回ご紹介するのは、わいら、です。上の絵では、木々の間から牛のような獣がのっそり姿を現しているところが描かれていますね。よく見ると、足の先には長い鉤爪を持っていて、こいつで引っ掻かれると痛そうです。妖怪好きな方は一度は目にしたことのある絵ではないでしょうか。しかし、では、この妖怪がどんな妖怪か、と問われると、まともに答えられる人は多くないと思います。それもそのはずで、この妖怪、とにかく情報がない。...

『昔話』 みそ買い橋

昔むかし、飛騨国の乗鞍山の麓、沢上というところに、長吉という真面目な炭焼きがおりました。ある夜のことです。この長吉の夢に白髭のおじいさんが現れて言いました。「長吉よ、高山の町へ行って、みそ買い橋の上に立っていてみろ。良いことがあるぞ」はて、良いこととは何のことだろうか。夢の中の出来事とはいえ、長吉は忘れられません。気になって仕方がないので、高山まで行ってみることにしました。朝早くに背中に炭を背負い...

『妖怪』 ぬるぬる坊主

今日ご紹介するのは、ぬるぬる坊主です。鳥取県米子の海辺に現れた妖怪と言われています。――  ある晩のこと、体格の良い若者が海岸沿いを歩いていると、一つ目の杭のような形の怪物がもたれかかってきました。気の強い若者はこれに組み付いて倒してやろうとするのですが、怪物は全身がぬるぬるとしていて、なかなかうまくいかない。しばらく格闘を続けていた若者ですが、さすがにスタミナも切れてきた。そこで若者は帯を使い、こ...

『四方山話』 ハニカム紫陽花

今日も気がつけば、すっきりとした晴天ですね。季節は梅雨のはずですが、雨雲はどこへやら。もしかして、このまま真夏へと突入してしまうのでしょうか。ジメジメするのは嫌だから、それでもいいよ、という方もいらっしゃるでしょうが、僕はその時その時の、然るべき季節の風情を感じたいタイプの人間なので、そうはいきません。しかし、悲しいかな、無力な自分には天候を操る術はない。ならば、梅雨の気分だけでもと、庭に咲いてい...

『日本神話』 天照大神 

 今回は神様のお話です。 登場するのは、この世を遍く照らす太陽の女神、天照大神(あまてらすおおみかみ)です。 非常に有名な神様ですね。 太陽の存在は、大昔から日本のみならず、世界中の人々にとって重要なものでした。この莫大なエネルギーなしには、人類は凍えてしまって生存できす、食べ物である作物も育ちません。そのため、人々から神格化され、厚く信仰されていたのも当然のことと言えるでしょう。 さて、いきなり...

『珍談』 僧の大きな鼻

  今は昔、池尾と云ふ所に禅珍内供と云ふ僧住みき。身浄くて真言などよく習ひて、ねんごろに行法を修してありければ、池尾の常塔・僧房などつゆ荒れたる所なく、常燈・仏聖なども絶えずして、折節の僧供・寺の講説など滋く行はせければ、寺の内に僧坊隙なく住みければ、賑ははしく見ゆ。かく栄ゆる寺なれば、その辺に住む小家ども、員数た出て来て、郷も賑はひけり。 さて、この内供は、鼻の長かりける、五六寸ばかりなりければ...

『妖怪』 かまいたち

窮奇、構太刀とも書かれる。各地で古くから知られている妖怪で、旋風に乗って来ては、人を切る魔獣である。野外で知らない間に鋭利な刃物で切ったような傷ができるのは、鎌鼬のしわざとされた。                                             ―『日本妖怪大辞典』より― とても有名な妖怪ですね。名前を知らない、という方はほとんどいないのではないでしょうか。 かまいたち、とい...