『伝説』 百椀とどろ

昔、日向国(現在の宮崎県)北方村字荒谷というところに『百椀とどろ』という場所がありました。そこは谷に沿って流れる川が滝となっている所でして、周囲を林に囲まれた昼さえ薄暗い淵でした。そんな少々不気味な場所ですが、荒谷に住んでいる人々は来客があった際など、必要な食器が足りない場合、そこへ、お椀を借りに行くことがあったのだそうです。淵でお椀を借りるとは、どういうことか。とても不思議な話ですが、人々がその...

『昔話』 ぶどう姫②

今回はお話の続きからです。前回 : 『昔話』ぶどう姫①いじわるなおばさんに、両目を潰されてしまったぶどう姫。彼女は目の見えないまま、不思議な力を持つという幻のブドウを探しに行くのですが……。ぶどう姫は川に沿って、どこまでもどこまでも歩いていきました。眼が見えないので、幾度も転び、体は泥や傷だらけでしたが、彼女は諦めることはありませんでした。「なんとしても、不思議なブドウを手に入れないと」その一心で、...

『昔話』 ぶどう姫①

昔むかし、あるところにとても心優しい娘が暮らしていました。この娘の瞳はとても美しく、まるでブドウのように輝いていたので、人々はその娘のことを「ぶどう姫」と呼んでいました。そんな彼女ですが、十二歳になった時、両親が病気になり、二人共亡くなってしまいました。突然の悲劇に、寄る辺を無くした彼女はおばさんの家に引き取られることになるのですが、このおばさんは大層意地が悪いことで有名でした。ぶどう姫から親の財...

『昔話』 蟹問答

むかし、むかし、偉いお坊さんが修行の旅にでかけたことがありました。ある日のこと、そのお坊さんが山の中を歩いていると、いつの間にか陽が暮れてしまい、どこか泊まれるところはないかと探しておりました。すると、道の先に小さな小屋がありました。そこにはどうやら木こりが住んでいるようで、一晩だけでも泊めてもらえないかと話してみることにしました。しかし、木こりは首を横に振ります。「こんな狭っ苦しいところにはとて...

『昔話』 踊る骸骨 ②

今回はお話の続きからです。前回:『昔話』踊る骸骨ーー友を殺して金を奪い取った上の七兵衛。盗んだ金で遊び歩くが、次第に金は尽き、再び出稼ぎに出ることに。しかし、行く先の峠で待っていたのはかつて殺したはずの下の七兵衛の骸骨だったーー「やあやあ、懐かしい友よ。まさか俺を忘れたわけじゃあるまい?」腰を抜かして倒れこむ上の七兵衛を前に、すっかり骸骨の姿と成り果てた下の七兵衛が言いました。「俺はお前に会いたく...